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統合失調症

このページでは統合失調症について説明を行います。

  1. 統合失調症の概念・歴史、疫学
  2. 症状
  3. 診断と病型分類
  4. 原因:仮説
  5. 当院での治療

1.統合失調症の概念・歴史、疫学

『統合失調症』は以前、「精神分裂病」と呼ばれていましたが、「精神」が「分裂」してしまった病気という偏見を払拭するため、2002年に『統合失調症』へ名称変更されました。

統合失調症の概念の変遷と確立と言う歴史を語る時、必ず名前をあげられるのが、エミール・クレペリン、オイゲン・ ブロイラー、クルト・シュナイダー の3名の先生方です。

クレペリン先生は、1893年、「青年期に発病、慢性的に進行して人格の荒廃(こうはい)(痴呆)に至る『早発性痴呆』」として疾患概念の基礎を確立致しました。

ブロイラー先生は、1911年に初めて現在の統合失調症を意味する“Schizophrenie ”という疾患名を命名しました。ブロイラー先生の提唱した統合失調症の基本症状は以下の4つです。

  • 連合弛緩 (loosening of Association):会話の文脈がまとまらず、次第に主題からそれ、筋が通らなくなること
  • 感情鈍麻(blunted Affect) 喜怒哀楽の感情の表出が減少し、表情は乏しく、声も単調になる状態
  • 自閉 (Autism) 外界に対して内的生活が病的に有意となり、現実から離脱してしまうこと
  • 両価性 (Ambivalence) 愛と憎しみなど相反する感情が同時に存在する状態を意味する

シュナイダー先生は、1959年に「相当する妄想や幻覚が1つでもあれば統合失調症と診断できる」という一級症状を定義していますが、この扱いは米国精神医学会の診断基準である、DSM-5には記載されなくなりました。

統合失調症の疫学について

一般全人口の0.8%程度と言われますが2014年の厚生労働省患者調査結果によりますと、日本における推定総患者数は、約77万人だそうです。世界的に時代、国、民族でほぼ一定で大きな差はないと言われています。

統合失調症は、発症率に明らかな男女差はみられないとされていますが、発症年齢のピークとして、男性は15~24歳、女性は25~34歳と報告されており、男性の方が女性よりやや早く発症する傾向が認められるようです。

2.症状

統合失調症には、幻覚・幻聴、妄想、思考の混乱、異常な行動といった陽性症状と、感情鈍麻、思考の貧困、意欲の欠如、自閉・無関心などの陰性症状があります。

『陽性症状』とは、通常あるはずのないものが現れる症状と言われ、幻覚・妄想・興奮・昏迷などの急性期症状を指します。

幻覚には、正常なヒトには見えないものが見える幻視や聞こえない声が聞こえる幻聴などがあります。明らかにありえない考えを正しいと信じ込む妄想、焦燥、激しい興奮が見られることがあります。奇妙な行動や思考形式の障害も『陽性症状』の一つです。これらの陽性症状は抗精神病薬が比較的よく効く症状です。

一方、『陰性症状』は、本来、あるはずのもの(能力)が存在しなくなる症状と言われ、

自閉・引きこもりや思考の貧困で会話が少なく内容が貧しくなり、意欲・発動性の欠如が認められてだらしなくなるなどの症状が見られます。さらに、意欲が低下し、何に対しても関心がなくなる無為(むい)、表情が乏しく、自発性がなく、感情の変化や声の抑揚がなくなる感情の平板化・感情鈍磨、「ぼーっ」として物事に集中できない注意力の障害などが『陰性症状』として認められることがあります。

最近では、『陽性症状』や『陰性症状』に加えて、注意力低下、集中困難、記憶力低下、遂行機能障害などの『認知障害』や抑うつ 不安、焦燥感、希死念慮、誇大性などの『感情障害』が、特にQOLと職業的社会的機能低下をもたらす要因として重要視されてきています。

3.診断

統合失調症の診断基準として、DSM-5による診断(概要)をこちらに示しています。

以下のうち2つ以上、各々が1ヶ月間ほとんどいつも存在する。

これらのうち少なくともひとつは(1)か(2)か(3)である。と記載されており、

(1)妄想 (2)幻覚 (3)まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)のうち少なくともひとつを含む。

さらに、(4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動、および(5)陰性症状(情動表出の減少、意欲欠如)を加えた5項目から計2項目以上の症状が、急性期症状を認める1か月を含み、少なくとも6ヶ月以上継続するとき、『統合失調症』として診断されます。

4.原因

統合失調症の原因は、100年以上研究されているにも関わらず未だ解明されてはおりません。

統合失調症の原因・要因として

① 遺伝的要因、② 環境的要因、③ 脳構造の変化、④ 神経化学的変化および

⑤ 脆弱性-ストレスモデルなどが知られています。

遺伝的要因の関連性は指摘されているものの、遺伝的には100%の関連性がある一卵性双生児や両親が統合失調症の子の場合にも実際のリスクは50%程度であり、遺伝的要因のみでは説明しきれず、環境的要因も重要であると考えられています。

統合失調症の環境的要因として、出生時低体重、新生児仮死、子宮弛緩(しきゅうしかん)、妊娠時糖尿病などの産科的合併症の既往が挙げられております。

その他、冬期出生、都会生まれは、夏季出生や田舎生まれに比べて高く、さらに移民や大麻の使用者(欧米)などに発症リスクが高いと報告されています。

CTやMRIによる研究から、側脳室・第3脳室の拡大、海馬領域の体積減少などが報告されており、脳全体で4%程度の灰白質体積減少が認められるとの報告があります。

統合失調症では脳の神経化学的な変化による神経伝達異常があるとする仮説があります。

統合失調症では脳内ドパミンの過活動があるため幻覚や妄想などの精神病症状をもたらす、というドパミン仮説は、30年以上も前に提唱された仮説でありながら、最も重要な仮説の1つであると言われています。

その根拠として、ドパミンD2受容体遮断薬が統合失調症の陽性症状改善作用を示すこと、および、脳内ドパミン放出を増加させるアンフェタミンなどが統合失調症様症状をもたらすことなどが挙げられます。

5.当院における統合失調症の治療

当院における統合失調症の治療は抗精神病薬による薬物療法と精神療法が主体となります。

抗精神病薬による薬物療法は、統合失調症の治療に有効であるとされています。以前は一日に数回の服薬を必要とすることがほとんどでしたが、近頃は持効性注射剤と呼ばれる治療方法が確立されており、1か月に一度程度の注射のみで治療を継続することが可能になっています。また、近頃は副作用の少ないお薬も複数開発されるようになっております。

統合失調症の治療は再発を予防することが大切とされておりますが、一方で副作用や服薬の手間が原因で薬が飲めなくなり体調を崩す方が多いという現実があります。当院では副作用や投薬の方法を患者様と一緒に考え、適切で継続可能な治療方法の提案を行って参ります。

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