メニュー

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、認知症の患者さんの中でも最も多いタイプの認知症です。
そもそも認知症は、進行性の脳の病気で、記憶、思考、判断力、言語能力などの認知機能が損なわれ、日常生活を送る上での困難が生じてきます。
このページでは、その中でもアルツハイマー型認知症について、詳しく解説していきます。

アルツハイマー型認知症の原因

アルツハイマー型認知症は、アミロイドβとリン酸化したタウ蛋白質が脳の広範囲(主に大脳皮質や海馬と呼ばれる部位)に蓄積することで生じます。
アミロイドβは、健康な人の脳にも存在していますが、通常は分解・排出されていきます。しかし、加齢などにより分解・排出がうまくいかなくなると、過剰にアミロイドβが脳内に蓄積することになります。アミロイドβが脳内に過剰に蓄積すると、アミロイドプラークと呼ばれる硬い沈着物を形成し、神経細胞を破壊し、細胞間の通信を阻害する要因となります。
もう一つのリン酸化したタウ蛋白質は、細胞内に「糸くず」のような繊維状の構造を形成します。これを神経原線維変化といいます。これが蓄積することで、脳の神経細胞が変性したり破壊され、脳の萎縮など構造と機能に影響を及ぼします。

このようにアルツハイマー型認知症の原因がアミロイドβやリン酸化したタウ蛋白質の蓄積によるものであることは判明していますが、そのような変化が起こる原因については、加齢や遺伝が影響とされていますが、明確なことは分かっていません。
しかし近年、糖尿病や高血圧の人はアルツハイマー型認知症になりやすいことが明らかとなり、予防には生活習慣の改善が重要であることが指摘されました。  

アルツハイマー型認知症に似た病気

脳血管性認知症

脳の血管障害でおきる脳梗塞や脳出血によって起こる認知症です。認知症のうち、約20%が脳血管障害により生じていると言われています。出来ることと出来ないことの差が大きい「まだら認知症」や、怒りや悲しみのコントロールが難しくなる感情失禁などが特徴的です。

レビー小体型認知症

ありありとした幻視が特徴的な症状とされ、それに伴ってパーキンソン症状(動作緩慢、手足の震え、歩行障害)や一日のうちで良い時間帯と悪い時間帯のある日内変動が特徴的です。認知症のうち、10%程がこのタイプと言われています。

前頭側頭葉型認知症

人格変化(以前より怒りやすくなった)、常同行為(同じ行動を繰り返す)、過剰なこだわり(毎日同じスケジュールで行動する)などが特徴的な症状です。これらの症状は脳の前頭葉の働きが落ちたことで起こるとされており、画像診断では脳の前方の萎縮が目立ちます。 


また、認知症ではなくても、認知症のような症状が現れることがあります。

老年期うつ病

高齢者のうつ病では気分の落ち込みを自覚できていないことも多く、物忘れや集中力の低下、意欲の低下などによって家事や炊事や身の回りのことができなくなることが特徴的です。
老年期うつ病の場合は早めに診断し、十分な休養と正しい薬物療法により治療が可能です。

せん妄

せん妄(せんもう)とは、一過性の意識障害の一種で、幻覚、妄想、怒りっぽさなど様々な精神症状が現れます。患者さんはその時のことを覚えていないことが多く、ご家族は「認知症になったのでは」と思うことがあります。しかし、せん妄は認知症と異なり、原因を取り除くことで症状の改善が見込めます。

アルツハイマー型認知症の治療

まず、患者さんがアルツハイマー型認知症かどうかを診断するために、患者さんご自身やご家族から、気になる症状や日々の行動、過去の病歴についてお伺いします。これに加え、認知機能を測る検査や、その他の疾患や原因を除外するための血液検査を実施することがあります。また、MRIやCTスキャンを使用した画像診断を行うことで、脳の構造的な変化を確認し、診断の根拠とすることもあります。(当院では画像診断の設備が無いため、専門のクリニックをご紹介しております。)
これらの診察・検査の結果から、アルツハイマー型認知症であると結論漬けられた場合には、薬物療法と非薬物療法の両方を行います。

薬物療法

「薬物療法」といっても、アルツハイマー型認知症を完全に治す薬はありません。現在行われる薬物療法は、①アルツハイマー型認知症の進行を抑える治療 ②アルツハイマー型認知症による周辺症状(怒りっぽい、意欲がない)などの精神症状を改善する治療 の2種類です。

その中でもアルツハイマー型認知症の進行を抑える治療に使われる薬は、脳内の神経伝達物質アセチルコリンの量を増やし、記憶障害などの症状の進行を遅らせる薬(ドネペジルなど)や、神経細胞の障害や記憶・学習機能の障害を引き起こすNMDA受容体が活性化することを抑える薬(メマンチンなど)を使用します。
これらの薬は、嚥下機能が低下した高齢の方でも継続しやすいように、水なしで飲める口腔内崩壊錠や、背中などに貼り付けるパッチ剤を選択することもできます。

また、2023年には、先ほどアルツハイマー型認知症の原因としてご紹介した「アミロイドβ」を直接除去する薬が開発・国内でも承認されました。(レカネマブというお薬です)
しかし、この薬も認知症の進行を「治す」効果はなく、あくまでも進行を遅らせる効果のあるものです。 また、この薬での治療はまだ一般的ではなく、事前に詳細な検査を行い、頻繁に通院・検査が必要となるため、患者さんにとって負担の大きな治療となると想定されます。現状当院では実施しておらず、一部のより専門性の高い病院でのみ導入されている治療法です。

非薬物療法

薬物療法と並行して行うのが、非薬物療法です。これは、計算問題を解くような認知機能のリハビリテーションや、散歩や軽い体操などの運動療法、演奏を聴いたり、カラオケをする音楽療法や、色塗りや俳句など創作を行う芸術療法などが挙げられます。
これらは、介護施設で行われるデイ・サービスや、医療機関で行われるデイ・ケアで、利用者の方々向けに日々のレクリエーションとして取り入れられています。

他にも、バランスの取れた食事、適度な運動を取り入れるなど生活習慣の改善を図ることで、心の健康を維持することができ、症状の進行を遅らせる可能性があり、診察の際に医師からアドバイスを行っています。

 

(※当院では患者さんの状態に応じて治療を実施いたします。また、全ての治療が当院で実施できるということではありません。まずは受診の上ご相談ください。)


 

アルツハイマー型認知症は、加齢によるもの忘れとは異なり、進んでしまった記憶力や判断力の低下をもとに戻すことはできません。しかし、患者さんと、支援をするご家族がより安心して生活できるように調整することはできます。ご自身やご家族の「もの忘れ」の症状で気になることがありましたら、早期に専門の医療機関へ相談することが大切です。

アクセス

180-0006
東京都武蔵野市中町2-15-13 

JR中央線・総武線三鷹駅北口徒歩7分
関東バス・西武バス・横河入口下車徒歩6分
無料駐車場5台あり

診療時間
9:30~13:30
15:00〜17:30
△9:30~13:00、14:00~16:00

休診日 日曜日、祝日

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME