月経前症候群(PMS、PMDD)
このページでは月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)について以下3点の解説をしていきます。
①月経前症候群(PMS)のうち特に精神症状の強いものを月経前不快気分障害(PMDD)と呼ぶ。
生理前になると、女性ホルモンの分泌が急激に変化して自律神経のバランスが乱れ、体調変化を感じやすくなります。症状が軽ければ心配はいりませんが、日常生活に支障をきたすほどの症状が現れることもあり、このような場合をPMSと呼びます。PMSによる症状は以下の通りです。
- 食欲増進
- 体がむくんで体重増加する
- 冷え症
- 頭痛
- 腰痛
- 肌荒れ
- 乳房の張り、痛み
- 集中力低下
- 気分の落ち込み
- イライラ、衝動性の亢進
- 情動不安
生理前が開始する1-2週間前に上記の症状が始まり、生理が開始するころに症状が治まるのであればPMSの可能性が高いでしょう。
PMDDは、PMSの中でも特にこころの不調が激しく、日常生活や社会生活に支障をきたしているもののことを指します。
こころの不調とは主に以下のような症状を指します
- 突然悲しくなる、涙が出る
- 強い苛立ち、怒り、対人摩擦の増加
- 抑うつ気分、ネガティブな思考
- 不安、緊張
- やる気、集中力がでない
- 疲れやすい、倦怠感
- 食欲増進
- 仮眠または不眠
これらの症状が強く出ている場合はPMDDと診断して良いでしょう。
②症状は月経前に強まり、月経開始とともに軽快する。
症状の出現する期間は個人差はありますが、おおむね月経前の1~2週間前から始まり、月経がはじまると症状が軽くなる傾向にあります。月経開始も症状が継続する場合は、月経困難症や子宮内膜症など別の病気が隠れている場合もあるため、婦人科の受診をおすすめいたします。
③PMS/PMDDについて保険適応の治療はないが、月経困難症やうつ病に対する治療で改善が見込める。
PMSやPMDDについて、現在日本で保険適応とされている治療法はありません。しかしながら月経困難症やうつ病(うつ状態)、神経症の症状や不眠も合併しているケースではこれらの治療をすることでPMSやPMDDの症状も改善するかもしれません。
具体的には月経困難症の症状も合併しているのであれば低用量ピルを使用することでPMS、PMDDの症状も一緒に改善することがあります。
また、うつ状態が強い場合はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる副作用の少ない抗うつ薬を使用することでPMDDによるこころの症状の改善が見込めますし、不眠や神経症に使用する漢方を処方することで症状が改善する方もいらっしゃいます。
生理前のこころの症状が軽い(PMSが疑われる)場合はそのほかの婦人科疾患の可能性の精査も含め婦人科で対応していただくことをお勧めいたしますが、心の症状が強く出る場合には抗うつ薬や漢方の処方も検討すべきであるため、精神科、心療内科の受診をお勧めいたします。
当院では症状に合わせて漢方や抗うつ薬による治療、低用量ピルの処方まで相談いただけます。生理周期に伴った精神症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
(※当院では患者さんの状態に応じて治療を実施いたします。また、全ての治療が当院で実施できるということではありません。まずは受診の上ご相談ください。)
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