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せん妄

このページでは、せん妄の特徴と治療について説明をしていきます。

このページの要点は以下の4点になります。

①せん妄とは一時的な意識障害で、幻覚、妄想、怒りっぽさなど様々な精神症状を伴う。

せん妄とは一過性の意識障害の一種です。

意識障害を起こすと、日付が分からなくなる、場所が分からなくなる、などの見当識障害と呼ばれる症状が出ます。注意力や思考力は普段より低下し、せん妄の最中に起こったことは覚えていないことが多いため、「認知症になってしまったのではないか」と心配されるご家族も多いです。しかしながら認知症と違うのは”一過性である”という点で、認知症になると症状が改善することはありませんが、せん妄であれば数時間から数週間でもとの状態に戻ることができます。

「一過性の病気であるから放っておいてもよいのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、せん妄による幻覚、妄想に基づいたつじつまの合わない言動は本人や介護者にとって大きな苦痛や戸惑いを引き起こし、イライラや怒りっぽい状態が続けば必要な介護を受けることの妨げにもなります。また、せん妄を起こすと昼夜が逆転した状態が続くことも多く介護者は夜も安心して眠れない状況となってしまうため、本人や介護者の負担を軽減するためにも早期の治療が望ましいと考えます。

②せん妄は環境の変化や体調の変化、内服薬、加齢や認知症による影響、病気など様々な要因が重なって生じる。

せん妄の原因様々あるといわれていますが、直接因子(身体疾患、薬物の影響)、準備因子(加齢や認知症による認知機能低下)、促進因子(不眠、環境の変化によるストレス)の3つの因子に分類されます。

直接因子とは身体疾患や薬物の影響によるものです。せん妄を引き起こしやすいとされる薬物としては、がんの痛みを軽減するために使用するオピオイドと呼ばれる薬剤や、睡眠薬や抗不安薬、H2ブロッカーと呼ばれるタイプの胃薬やステロイド剤などがせん妄を引き起こしやすいとされています。

準備因子とは加齢や脳梗塞、脳出血などの脳血管障害、認知症など脳の病気のことを指します。高齢者やこれらの病気のある方は、若い人に比べてせん妄になるリスクが高く、若い人であれば影響のない直接因子であってもせん妄を生じやすくなります。

促進因子とは具体的には入院などの環境変化、脱水や疼痛、視力や張力の低下などの体調の変化、不安や抑うつなどの精神的なストレスがあげられ、これらの要因がせん妄をさらに悪化させるといわれています。

③認知症による症状かせん妄による症状かは専門医でも判別が難しいこともある。

昼夜逆転や妄想、怒りっぽさなどのわかりやすい症状があればせん妄と診断することは比較的簡単ですが、これらのわかりやすい症状に乏しく物忘れや集中力低下、意欲低下、気分の落ち込みなどが目立つタイプのせん妄(低活動性せん妄)は認知症でもみられる症状であるため、精神科専門医でも診断に迷うケースです。治療可能なせん妄であるにもかかわらず認知症として見過ごされていることもあるため、認知症を疑った場合には精神科専門医の診察を受け、必要な治療を受けることが大切と考えます。

④せん妄の予防・治療は昼夜のリズムをつけることと感覚遮断を防ぐことが大切。薬物療法も効果あり。

②に記載したせん妄の原因となる因子を取り除くことは大切で、せん妄の原因となるような薬剤を服用しているのであれば、必要最低限に減薬をしたり、脱水や疼痛などの促進因子を和らげてあげることで症状が改善することもあります。とはいえ身体疾患や療養環境などはすぐに改善することは難しいでしょう。

せん妄を改善させるような対応としては日中は日の光を浴び、夜は暗いところで過ごすようにするなどして昼夜のメリハリをつけてあげることと、日中に視覚、聴覚、触覚などの五感を刺激してあげるような働きかけ(眼鏡をかける、頻繁に話しかける、マッサージをする等)を増やすことが大切です。

薬物療法も効果があるとされており、抗精神病薬と呼ばれるお薬を使用することで症状の改善が期待されます。ただし傾眠、動作緩慢、嚥下困難、流涎などの副作用を伴うこともあるため、精神科専門医の指導の下慎重な薬剤調整をすることが大切です。

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