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認知症の周辺症状

認知症とは

認知症とは進行性の脳の病気で、記憶、思考、判断力、言語能力などの認知機能が損なわれ、日常生活を送る上での困難が生じる状態を指します。認知症は病気の一種であり、脳の一部が損傷した結果として発生します。原因となる疾患や状態により、さまざまな種類の認知症があります。

このページでは、物忘れと認知症の違いと、認知症の周辺症状について記述しています。
認知症の種類と、認知症の中核症状については、認知症(アルツハイマー病など)をご覧ください。

 

 

物忘れと認知症の違い

年齢を重ねると、ご自身やご家族に対して「物忘れが増えたな」と感じることがあるかもしれません。

「物忘れ」と「認知症」という言葉、状態について、同じものと認識されている方もいらっしゃいますが、加齢による「物忘れ」と「認知症」は異なる状態です。

 

一般的に60歳頃になると記憶力の低下に加えて、判断力や新しいことや変化への適応力の衰えもみられるようになり、物忘れが次第に多くなってきます。しかしこれは加齢による脳の老化が原因であり、誰にでも起こりうる自然な現象です。年齢を重ねると、体力が低下していくことと似ています。また、若年の方であっても、ストレス、疲れ、睡眠不足など、一時的な原因によって物忘れが起こることもあります。このような原因の場合は、休息やストレスの軽減により改善することが多いです。

一方認知症は、脳の特定部位が障害されてしまう病気であり、記憶や判断などを行う脳の機能(認知機能)が低下し、日常生活や仕事に支障をきたすようになってしまいます。進行を緩やかすることは可能とされていますが、一度失われた機能がもとに戻ることはないとされています。

 

認知症の種類により出現する症状は様々ですが、加齢による物忘れと認知症による物忘れを比較すると、以下のような違いがあります。

 

【認知症による物忘れ】   

【老化による物忘れ】

・体験そのものを忘れる

(食事をしたことを忘れる)

・体験の一部を忘れる

(何を食べたかを忘れる)

・ヒントを与えても思い出せない

・ヒントを与えると思い出せる

・忘れたことが分からない

・忘れたことを自覚している

・買い物に行ったことを忘れ、また買い物へ行く

・買い物へ行ったときに、うっかり買い忘れる

・家族の名前を忘れる

・(著名人等の)人の名前がすぐに出てこない

※あくまでも一般的な例です。全ての方に当てはまるわけではありません。

また、加齢による「物忘れ」の場合は、出現する症状は記憶の問題だけであることがほとんどですが、「認知症」の場合は 記憶の問題だけでなく、思考や判断、言語、遂行機能など、多くの認知領域に問題が生じることが特徴です。

 

このように、「認知機能」は年齢を重ねることで少しずつ低下していくものではありますが、年齢相応の「物忘れ」と、脳の障害としての「認知症」とを判別するうえで大切な基準となるのは、脳の認知機能低下によって個人の日常生活や社会生活に大きな支障をきたしているかどうかという点です。

しかし、認知症の初期段階では区別をすることは難しいため、物忘れが頻繁に起こる、継続的に症状が悪化していると周囲の方が感じる場合は、医療機関での診断を受けることをおすすめします。

 

認知症の症状 ― 周辺症状

このように、物忘れと認知症の症状の出現に違いがあることはご理解いただけたかと思います。続いて、具体的にどのような症状があるのかをご紹介いたします。
認知症の初期症状は、大きく分けて2つあります。一つは、脳の神経細胞の働きが低下することが原因となり生じる、認知症の本質的な症状で、「中核症状」と呼ばれています。
もう一つは、その「中核症状」に起因して生じる周辺症状で、「行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれるものです。

「中核症状」については、認知症とはのページで詳しく説明しているので、こちらをご参照ください。

「行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれる周辺症状は、ご本人の元来の性格や生活環境、人間関係などが関係して出現するため、現れる症状は個人差が生じます。

 

具体的には、以下のような症状が挙げられます。

 

不安・抑うつ

認知機能の低下によりできないことが増えて日常生活に支障が出ることにより、不安を感じたり、気分が落ち込む抑うつ状態が見られる場合があります。このような状態になると活動意欲が低下し、外出や他者との交流を避け、無気力になることがあります。

 

徘徊

記憶障害や、時間や場所が分からなくなる見当識障害などが原因となり生じます。
外出先で道に迷う、普段生活している自宅や施設などを知らない場所であると感じて外に出てしまうなどにより、徘徊に繋がることがあります。徘徊は事故や行方不明につながる危険性があるため、安全対策を取ることが大切です。

 

幻覚・錯覚

幻覚や錯覚も、認知症機能の低下によって生じる周辺症状のひとつです。「窓から動物が入ってきた」「二階に人がいて足音がする」など、幻視や幻聴などもあります。これは、レビー小体型認知症によくみられる症状ですが、他の認知症でも生じることがあります。

 

暴力・暴言

脳に障害を受けている影響で、思うように言葉を伝えられないもどかしさ、不安、不満、いら立ちを抑えきれずに、暴力・暴言となって現れることがあります。穏やかな性格だった人が、認知症になってから人が変わったように怒りっぽくなったり、暴れたりする場合もあります。

 

物盗られ妄想・せん妄

「物盗られ妄想」は、よく見られる症状のひとつです。記憶が抜け落ち、自分が置き忘れた自覚がないために、取り繕いをします。その結果、身近な人に対し「盗まれた」という疑いの目を向けるようになります。

また、体調不良や環境の変化によって見当識障害が起こり、時間や場所が分からない、幻覚を見る、イライラする、興奮するといった「せん妄」が現われることもあります。

 

介護拒否

介護を必要とする状態であっても、本人が介護を拒否し、受け入れない場合があります。介護を受けることへの不安や意欲低下、認知機能の低下により介護の意味が理解できない、自尊心からの拒否など、理由は様々です。また自宅から施設に移るなど、環境や習慣の変化から介護を拒否するケースもあります。

 

周辺症状には、上記以外に帰宅願望、多弁・多動、異食、失禁・弄便、性的異常などがあります。症状の現れ方には個人差があり、出現する時期などによっても異なります。

 

認知症が進行すると、これらの周辺症状が現われ、それまでとは人が変わったように感じるかもしれません。しかし、周辺症状は薬物療法や非薬物療法によって症状の緩和へとつなげることができます。まずは、専門医へ相談し、ご本人とご家族にできることを始めてみましょう。

 

 

 

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